ソーシャル・ジレンマ
ケンブリッジ・アナリティカがニュースになる、4〜5年前のことだったと思う。フェイスブックから、その人の年齢・性別・性格・趣味・食べ物の好み・政治的価値観など、諸々の個人情報をみいだすケンブリッジ大学の研究について知る機会があった。AI研究が発達し、犯罪防止につながればと願った。当時、個々の心理的属性の情報が、まさか米大統領選やBrexitの国民投票に利用されようとは思わなかった。
(離脱キャンペーンでは、Brexit に反対すること自体が愛国心に欠ける「非国民」のように言いはやされ、「頭」でなく「肚」の根拠なき心配に訴えるような流布がなされた。また「英国人」という、単一のアイデンティティに訴えかけたことも興味深い。)
その後スノーデン氏がNSAの情報収集を告発したときは、「やはり」という印象で驚かなかった。あれから監視資本主義はさらに進んだ。
Super recipes for closing 2020
First, I'd like to share our Michelin chef's ketchup recipe with you.
During one of my visits to my favorite restaurant in Luxembourg, between the first and second lockdowns, I had an exceptional dining experience. My companion and I were thrilled with the meal, and I complimented the waitress on the outstanding cuisine. I even asked if she could provide me with the recipe for their delicious ketchup.
To my surprise, the waitress returned with a note from the chef, listing the ingredients. I suppose the chef was impressed by how thoroughly we enjoyed our meal, leaving barely any leftovers and clean dishes. We had polished off every last bite, leaving the serving dishes spotless!
欧州にて — 学術会議をめぐる雑感
大学を英語でa university と言います。これはラテン語の universitas に由来し、“a whole” を指します。つまり総べてひっくるめて“all-inclusive” の総合知の学舎を「大学」と呼びます。(ウイキペディアにも載ってますよ)「大学」には「学問の自由」が不可欠で、ここ900年ほどの伝統です。今回の日本学術会議会員候補6人の任命拒否・人事介入問題で、現政権はそういった「広い視野」に乏しいということが明らかになった気がします。
未来志向なら、科学的知見は政策決定に無くてはならないものです。リベラルな知識人の研究は、警察国家への歯止めにもなることでしょう。
予算委員会質疑を見ていると、政治家にかかわらず、「民主的に」熟議することに苦手な日本人が多いという印象があります。さらに「リーダー」と「マネージャー」が混同されているようにも思います。日本の「指導者」と言われる人には、実は単なる「マネージャー」が多い。彼らはトップダウンで「上(ワシントン)」や横から言われた仕事をするだけで、指導者の資質である長期的ビジョンや人を惹きつける温もりやカリスマに欠けていそう。非を認めて謝るのも、リーダーの度量だと思いますよ〜。(米国憲法修正第1条は、表現の自由ですよ)
要警戒 「ベーシック・インカム論」
Credit: www.fgtb.be / www.accg.be
コロナウイルス第二波の影響は、専門家たちの予想以上に大きいのではないでしょうか。この緊急対策としてベーシック・インカム論がぶり返し、フィンランドや、オランダ、イタリア、ドイツなどの国々や限定地域で行われてきたベーシック・インカム (BI) 制度を導入する社会実験が、より現実味をおびてきました。
そんな折、日本でも竹中平蔵さんが月7万円のベーシック・インカム論を紹介したようです。これは危ないとすぐに感じました。それにしても、ベーシック・インカムや社会的共通資本や福祉について常々考える人たちがいる世の中で、常に自分の儲けを追い求める人たちもいるのだなあと感心しています。それを証するように、世界の大富豪たちの所得はコロナ禍で飛躍的に伸びているではありませんか。
この分野の専門家でロンドン大学教授・経済学者のガイ・スタンディング (Guy Standing ) は、年齢や性別、婚姻状態、就労状態、就労歴などに関係なく、すべての個人に一律で最低限の生活費を支給する制度をユニバーサル・ベーシック・インカムと定義しています。
“[A] basic income can be defined as a modest amount of money paid unconditionally to individuals on a regular basis (for example, monthly). It is often called a universal basic income (UBI) because it is intended to be paid to all.”Guy Standing. Basic Income: And How We Can Make It Happen. Pelican Books, 2017, P. 3.
Dancing at home!
This is so cool! soooo Luxembourgish! This nice little song reminds us that we are not “separate islands,” but a part of the larger society! Solidarity!
「コロナウイルスは今やここに」「外に出ないで、家で踊りましょう」「2メール距離をおいて、手洗い励行」「病人、虚弱な人、お年寄り、そして彼らをケアする人たちのことを私は想ってますよ」という手作り感のある連帯のビデオです。ルクセンブルク社会が、一瞥できると思います。
Danzt doheem
Si soten : « O mei, de Virus ass elo hei
a Schutzmoossname gëtt et eng ganz Rei.
Beim Schwätze respektéiert zwee Meter Distanz
a wäsch deng Fanger sou oft s de kanns. »A si hu lo gesot : « Bleif dobannen, well rausgoen ass gewot !
A bleift lo all am Haus, gitt nëmmen, wann et wierklech néideg ass, eraus. »Dofir danzt elo, danzt elo all doheem.
Sidd solidaresch an disziplinéiert, jiddereen,
an haalt iech drun, well de Coronavirus geet jiddereen eppes un !Ech denken un déi krank, déi schwaach an déi al Leit
an un dat Personal, dat déi do betreit.
Ech soe Merci all deenen, déi am Hannergrond
doru schaffen, datt alles hei dréit weider ronn.A si hu lo gesot : « Bleif dobannen, well rausgoen ass gewot !
A bleift lo all am Haus, gitt nëmmen, wann et wierklech néideg ass, eraus. »Dofir danzt elo, danzt elo all doheem.
Sidd solidaresch an disziplinéiert, jiddereen,
an haalt iech drun, well de Coronavirus geet jiddereen eppes un !Lisa Mariotto
気候危機 II 崩壊ふたたび
水や食べ物、住まい、エネルギーなどの生活必需品が不足し、「通常運転」がもはやできず社会の基底がくずれることを「崩壊」と呼ぶ。
近年フランスでは Pablo Servigne らの崩壊学の本がベスト・セラーとなり、この酷なゆく末をわが子にどうやって説明すればいいのかと泣いて相談する若い母親や、アメリカでは優秀な学生が退学し、手に職をつけて活路を見いだす人たちもいるようだ。その「崩壊」をテーマに映像化した日本映画に『サバイバルファミリー』(2017年公開)がある。
わが街ルクセンブルクでは、崩壊を語る人も、有事に備えるために農業を営む知友も増えてきた気はするが、日本と同様、一般的に危機意識は低い。さながら「12月23日の七面鳥」感がある。(エサもねぐらも申し分なく、まさか、あくる日に丸焼きになるとは夢にも思ってない様子)
だが社会崩壊は、歴史上の事実として存在する。ジャレド・ダイアモンド(地理学・歴史学・人類学者)は崩壊の要因として、5つ挙げている。
1)環境崩壊・資源の枯渇
2)気候変動
3)近隣国との敵対関係
4)友好国の減失
5)誤った環境対策である。
山本太郎議員への提言 救国の方法
<貨幣は負債であるを知ることから始まる>
先月、田辺聖子さんが永眠された。「田辺さんの小説に、こんなくだりがある。自分ではどうすることもできない苦境に陥り、人生が行き詰まったかにみえたときでも「神サンはちゃんと、『この道抜けられます』の札を吊(つ)るしておいてくれてる」◆その札の存在を教えてくれるのが、人間の優しさなのだろう。神戸新聞2019・5・25」
(www.kobe-np.co.jp/column/seihei/201905/... DISCONTINUED)
絶体絶命。もう打つ手がない。という時に、通常では思いつかない型破りな発想をし、すんでのところで危機を回避し、ついには事態を好転させ、もの事を成功に導く人たちがいる。あわやという時には、火事場の馬鹿力で難を逃れることもある。
この抜け道「の札を吊るしておいてくれ」た一人が、ベルナルド・リエター (Bernard Lietaer) だと私は思う。あいにく、彼も今年2月に鬼籍に入っている。リエター教授はアメリカのMITで学び、ベルギーの中央銀行に勤め、欧州通貨ユーロの創設に携わったお金のエキスパートだった。
この「ユーロの父」はユーロ導入の際、今までどおり各国の貨幣も同時に用いるべきだと提案した。法定通貨と補完通貨(補助・地域通貨)が並存することで、持続可能な地域社会が維持できると彼は説いた。この立案は反対の声にねじ伏せられ、異を唱えた勇気ある彼は職を辞した(つまり単一通貨でなく、二本立通貨で経済が安定すると不利な人々がいた事がうかがい知れる)。彼は逝ってしまったけども、リエターの知見は生き続けている。
リエター氏によると、ノーベル経済学賞でお金に触れている学者は、たった2人だけ。お金がタブーである所以である。
だが、お金の本質を問う人は多い。第二のノーベル賞と称されるライト・ライブリフッド賞を受賞したハーマン・E・デイリー教授は、ジョン・B・コブ・ジュニアとの共著である For The Common Good の終章で、お金の仕組みについて問いかけている。この本は1991年のGrawemeyer award for Ideas for Improving World Orderを受賞している。幸いこちらは御二方とも健在である。
マデイラの大自然
私の大好きなマデイラの大自然の写真をお届けします (2018年年末に撮影)。
マデイラ行きの飛行機は、午前6時半にルクセンブルグを出発。前回(「太平洋の真珠」礼賛)は気づかなかったのですが。前方の席を見ると、ハイエンドなシニアたちが、遠足に出かける子供のように和気あいあいと朝食を楽しんでました。
空港に降りたち、その場の人たちの後ろ姿を眺めるともなしに見ていたら、皆さん、背筋からお尻まですらりと引きしまり、足元はメンデルなんかのトレッキングシューズを履いていて、そのまま山に行けそうな人たちばかりでした。足元を見るれば、マデイラ旅行の目的と真価がわかるというもの。心ゆくまで自然を感じて楽しむことなんですね。
自然遺産に登録されている山の麓まで、ホテルの電動車を借りて行きました。
奥深い樹海に行くと、ズアオアトリ (Maderian chaffinch鳴鳥) が出迎えてくれました。やや緊張気味か、あまり鳴きませんでしたけども。「これって定宿から送られてきたドローン?」って勘ぐるくらい、人懐っこくて(でも人ずれと言うほどでもなく)、それとなくこちらを見ては一緒に横を歩いてくれました。親和を図ってくれているのかなあと、野鳥にもてなされている気分になりました。
いい香りのする月桂樹に広葉樹、針葉樹の原生林。新鮮な有機野菜と熟れた果実 (バナナにパッションフルーツ、キューイ)。豊かな水と艶やかな花 (野に咲くミモザ、アガパンサス、メキシカン・ポインセチア等など)。本当にマデイラは素晴らしい。
Continuing my little blog about one of my favorite places in this world: Madeira.
コラプソロジー 再考「人類が永遠に続くのではないとしたら」
フランスの抗議運動は、8週目に入った。
マクロン大統領の側近、バンジャマン・グリヴォー報道官の発言がかえって火に油を注ぐことになり、昨夜、黄色いベストを着た抗議者たちが政府施設の入り口をブルドーザーで打壊した。
言うまでもなく、黄色いベスト運動の背景には仏国民の怒りがある。 (マクロン大統領が富裕層を優遇するのは、最初からわかっていたはず。彼はロスチャイルド系列会社の出身ですよね)
燃料税引き上げの反対をきっかけに、労働法の改悪、税制改革、中低所得者へのしわ寄せ、年金生活者の負担、生活費の高騰、格差の拡大など、さまざまな不公平が目に余る。さらに追い打ちをかけるような気候変動・環境の異常さ。人々が現システムのほころびに気づき始め、大統領へのつもりつもった不満や怒りが噴きだしたという感がある。
「伝えられなかったヒロシマ・ナガサキ」
先日、明治学院大学の国際平和研究所発行の小冊子(PDF)を、送付していただきました。ハノーファー(ドイツ)から戻リ、受信メールをチェックしていた時のことです。
ハノーファーが広島の姉妹都市とはつゆ知らず、期せずして友人(かの王宮庭園のマネージャー)の誕生日祝に行ったのですが。
原爆の日の前夜、友人一家に旧市街を案内してもらい、広島から贈られた平和の鐘にも触れることができました。教会の壁には、被爆者の方たちの写真も展示されていました。
20代の頃、別のドイツ人夫婦にホロコースト関連物の保管所に連れて行ってもらったことがあります。その場所も、そこで何を見たかも、ほとんど覚えていないのですが。その後、あまりのショックで小一時間、身体ががたがた震えて口が聞けなくなったのを覚えています。自国の歴史に向きあう経験則の違いにも、驚いたものです。
いつ、どこで、誰が、何を、どうしたのか。日本では史実を冷静に興味深く教わるというよりは、空襲や原爆の悲惨さを繰りかえし語られることが多いので、そのおぞましさが乱反射して子供心にげんなりしたものです。視覚性に訴えられるのも、子供には精神的な苦痛です。
日本では戦争犯罪の記憶について、特に最近は語られていない気がします。
戦時中の大本営発表については知られているのに、戦後、占領軍によって施かれた検閲制度や、現在、日本の報道自由度が67位〜72位であるという事実ですら、認知度が低いのではないでしょうか。だからこそ、戦争の記憶を保持し思い出すことが大切ではないでしょうか。
- see 「戦時録音資料」
詩人・堀場清子さんの素晴らしい文章に出会い、あまりのタイミングの組み合わせに感慨を覚えずにいれません。どうぞ皆さん、ご一読ください。