このような乱世にもかかわらず、幸せで安定した毎日をおくれるのはピダルのおかげだと思う。ピダルはルクセンブルク郊外ののどかな3つの自治体が資金を持ちよってできた、スポーツ施設だ。(みんなのお金を、かように上手に大切に使う方法があるのです!)
ジムの他に、大人用と子供用のプールもあり、屋外プールもある。スクールバスで子供達もやってくる。マッサージやエステを受けられるスパもあり、サウナやハマムなどの温浴施設もある。まわりは大樹に囲まれている。松葉杖の人も、義足の人も、術後の病み上がりの人もいる。ピダルで1日を過ごすシニアたちもいらっしゃるらしい。
私がもっぱら行くのは、ジム(週2回)とレストランである。レストランには栄養士が考案したような、たんぱく質たっぷりの日替わりメニューがある。緑の垣根の向こうはヌーディストのプールが広がる。噴水の波にあわせて、鴨のカップルも一緒に泳ぐ。
善男善女。老若男女。筋肉が引き締まっていようがなかろうが、からだつきがどうであろうが、風もないのにブーラブラという体で、それぞれ日光浴を楽しんでいる。あっけらかんとした健康美と寛容性。サンファルのナナのような方たちも結構いる。そうしてプールから上がって来ては(ガウンなどをまとって)、レストランにやって来る。テラスに座りクレモンやビールを飲む。これほどの幸福感はない。
運動後の食事は胃袋にしみわたるような美味しさだ。ある日のランチは、格別に滋味ぶかい味わいだった。シェフのクロードさんにレシピを教えてもらったら、こんな几帳面な字で材料を書いてくれた(フランス語の手書き参照)。緑と黄色のズッキーニ、トマト、玉ねぎ。これらの野菜を細かく切って、にんにく、塩、こしょうとトマトソースで調理したキヌアを混ぜる。型で成形したサラダの上に、アーティチョークを2切れとパルミジャーノ・レッジャーノの薄切りの上にルッコラがのっていた。まわりにはバルサミコ酢とオリーブオイル。材料の良さをあんばいで調節/工夫すると、唸るほど美味しくなります。お試しください。