残念なアベノミクスの成果

 

アイム・ソーリ、髭ソーリとおちゃらけたのは、たしか忌野清志郎でした。それにならって、アイム・ソーリ、アベ・ソーリ。ソーリ・アベノミクス。

そうです。インタビューで甘利さんたちが「トリクル・ダウン、トリクル・ダウン」(*)とあまりにも繰りかえすので、トリクル・ダウンという言葉のトリックに皆さんはひっかかったのでしょうか。経済成長の恩恵がそのうち庶民にもまわってくるだろう、そのためには、まず大企業と富裕層を儲けさせなくちゃ、トリクル・ダウン効果は起こらないとでも、思ったのでしょうか。ですが実はトリクル・ダウンの逆で「アベノミクスの効果が、大企業や富裕層のみに及び、それ以外の国民には及んでいない」(**)のが事実です。

「できるだけ多くの角度から論点を明らかに」(**) せよということですので、そのように検証しました。そうですね。悪魔/神は細部に宿るといいますものね。ぜひ私たちの記事に目を通していただきたい。

スティグリッツやケイパビリティの理論家たちがまとめた、国連のストックホルム声明書があります。アマルティア・センの理論の影響が、色濃く見られる声明書です。そこには「経済成長は目的ではなく、健康・教育・雇用・安全保障・消費の改善など社会目標を達成するために必要な資源を創出する手段にすぎない」と書かれています。本末転倒のアベノミクスは目的達成をできず、手段の段階で終わっています。

日本の報道の自由度の低さが、アベノミクス報道の不自由さにも反映しているようです。あわせて安倍さんが所属する日本会議についても、読んでいただきたい。彼らが改憲案に国民の私権を制限する規定を明記しようとすることにも、ふれています。

参考資料

 

甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨(今後の経済財政動向等についての点検会合について)

日時:平成26年11月14日(金曜日)20時00分~20時20分

(問)民主党の野田佳彦元総理が、消費税率の来年10月の10%引き上げについて先送ってもよいという、容認の発言をされ、その理由としてアベノミクスの失敗だと、失敗したのだから引き上げられない状況になったということをおっしゃっているのですけれども、これについてどうお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
(答)アベノミクスが失敗、アベノミクスの基調が頓挫したということではありません。現実に企業収益は史上最高になっています。この冬の賞与についても一次回答がありました。昨年の冬と合わせて2期連続5%を一次回答で上回ったのは、バブルの崩壊前ですね。1990年前後、89年と90年でしょうか、そこが8%とか6%ということがあって、それ以降、5%を2期連続で上回ったという年がありません。だから、間違いなく、企業収益はたくましく改善している。名目賃金も上がっている。雇用情勢は過去に例がないくらいの好調である。今日は高知県知事が、高知県の状況について、有効求人倍率が0.86で、史上最高であるとのことでした。そして、過去は全国と比べても、有効求人倍率が上がっていなかったのが、このトレンドを見ると急激に上がってきていますとのことでした。こういう例は過去にありませんと県知事がおっしゃっていましたけれども、そういう状況、ベースは失われておりません。要は消費税を導入したことによって、消費の回復が遅れている。遅れている理由は、消費者が守りに入っているという点があります。それから、名目賃金は上がっているのに、実質賃金がついてきていない。つまり、企業収益が完全に好循環を回し切っていないというところです。トリクルダウンがまだ弱いということです。だから、トリクルダウンを強くする。あるいは「ないんだ」ではなくて、収益を上げたところから還元していかないと、儲かっている人がため込んでいるだけで、一切外に出しませんといったら、経済の回復などあり得ない。だから、トリクルダウンを速くするという課題や、実質賃金ができるだけ早くプラスになるようにしていくなど、そういう課題が残っている。
 だから、仮に消費税率引上げを延期するということになるならば、そういう本来の企業収益が賃金や下請け代金に跳ね返ってくる、これが一回は起きているわけですから、2巡目、3巡目を起こしていく、そういう時間的猶予が必要だという判断だと思います。アベノミクスが完全に失敗していたら、どこまで延ばそうと、デフレに戻ってしまいます。デフレに戻らないようにトリクルダウンをしっかりスピードを速める、実質賃金が上がっていくようにする、その時間的猶予をもらいたいということだと思います。
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